ネット上の情報や参拝者の声を見ていると、「京都が本物で大阪は後から作られた観光施設ではないか」「阿倍野神社と安倍晴明神社の違いがよくわからない」といった誤解が散見されます。しかし、歴史的実態は全く異なります。
第一に、前述の通り阿倍野の安倍晴明神社は一条天皇の勅命により創建された正統な生誕伝承地です。平安期以降、戦火や都市化の波に揉まれて一時荒廃した時期があったものの、江戸時代には庶民の熱烈な晴明信仰によって再興され、明治期に入って南側約50メートルの位置にある「阿倍野神社」の飛地境内末社(摂社)として正式に組織されました。
阿倍野神社は、南北朝時代の忠臣である北畠顕家(きたばたけあきいえ)公・北畠親房公を主祭神として祀る大規模な神社です。晴明を祀る安倍晴明神社と北畠氏を祀る阿倍野神社は、管理組織こそ同一ですが主祭神も由緒も明確に異なります。大阪・阿倍野を訪れる際は、安倍晴明神社(摂社)だけでなく、親会社ともいえる阿倍野神社(本所)をあわせて参拝する「両社参り」を行うことで、より完璧なご神徳を得られるとされています。