押切蓮介(本名・神崎良介)は1979年9月19日生まれ、神奈川県川崎市出身。彼の作品に色濃く反映されている「孤独」「格闘ゲームへの狂気的な没入」「世間に対するルサンチマン」は、彼自身の青年期の歩みと不可分に結びついています。
1998年、『ヤングマガジン増刊赤BUTA』に掲載された『マハラジャ』でデビュー。しかし、最初から順風満帆だったわけではありません。デビュー後数年間は原稿が通らない不遇の時期を過ごし、当時の苦悩や葛藤は自伝的作品『ピコピコ少年』シリーズに赤裸々に描かれています。ゲームセンターの薄暗い空間と筐体のブラウン管が放つ光だけが、現実逃避であり最大の救いだったと本人は述懐しています。
転機となったのは2003年、『週刊ヤングマガジン』で連載を開始した『でろでろ』です。妖怪や怨霊を暴力と理不尽なツッコミでねじ伏せる主人公・日野日出夫の怪異退治劇は、読者の心を瞬く間に掴み、全16巻に及ぶ長期連載となりました。この『でろでろ』で確立された「不気味な怪異をユーモアで相対化するセンス」こそが、後の押切ワールドの強固な土台となっています。