専門店のもつ焼きが柔らかく、旨味だけが際立っている最大の理由は、焼きの技術以上に徹底した下処理にあります。スーパーで手に入る生の豚ホルモンや牛もつには、ドリップや酸化した油脂、内臓特有の臭気成分(トリメチルアミンなど)が付着しています。これをそのまま加熱すると、臭みが肉全体に回り、強火で長く炒めることで水分が抜け、ゴムのような食感になってしまいます。
臭みを完全に断ち切り、ふっくらと仕上げるための下処理ステップは以下の3段階です。
ステップ1:小麦粉または粗塩による揉み洗い
ボウルにもつを入れ、大さじ1〜2程度の小麦粉(または粗塩)を揉み込みます。小麦粉の多孔質構造が表面の微細な汚れやぬめりを吸着します。2〜3分しっかり揉んだ後、冷水で濁りがなくなるまで入念にすすぎます。
ステップ2:香味野菜を使った「短時間の下茹で」
鍋にたっぷりの湯を沸かし、長ネギの青い部分、スライスした生姜、酒(大さじ2)を加えます。沸騰した湯に生もつを投入し、下茹で時間は強火で3分〜5分にとどめるのが最大の秘訣です。長時間の煮沸はコラーゲンと旨味を流出させ、肉質をパサつかせる原因になります。短時間で表面のタンパク質を凝固させ、アクと余分な脂だけを湯に溶出させます。
ステップ3:冷水締めと水気の完全乾燥
茹で上がったもつをザルにあげ、冷水で急冷しながら表面に残ったアクを指先で優しく洗い流します。その後、キッチンペーパーで水気を完全に拭き取ることが不可欠です。水分が残っていると、焼く際に温度が上がらず「炒め煮」の状態になり、香ばしさが生まれません。