制度導入の公式見解として、政府は「8%と10%の複数税率下において、適正な税率と税額を把握・計算するため」と説明してきました。しかし、欧州型のインボイスをそのまま日本の中小零細企業社会に移植した背景には、長年議論されてきたインボイス 益税の真相と税務行政の宿願があります。
旧制度下では、年間売上1,000万円以下の免税事業者が受け取った消費税を国へ納付しないことが「益税(預かった税金を懐に入れている)」として、メディアや一部の有識者から強いバッシングを受けていました。しかし、最高裁判所の判例(平成2年11月26日判決等)において、消費税は「対価の一部」であり、預り金そのものではないと法的に整理されています。つまり、法律上の預り金ではないにもかかわらず、政治的・社会的な「不公平感」の払拭を大義名分としてインボイス制度 実質増税 批判をかわしながら制度化が進められた経緯があります。
財務省の真の狙いは、単なる直接的な増税にとどまりません。これまで税務当局が正確に把握しきれなかった小規模フリーランスや一人親方、ギグワーカーの取引実態・収入の流れを網の目のように可視化し、税務捕捉率を飛躍的に高める「取引インフラの掌握」にこそ本質があったと言えます。