有料老人ホームの資金計画を立てる際、最もトラブルが多発するのが「入居一時金(前払金)」のカラクリだ。家賃の前払い分として数百万から数千万円を支払うことで月々の負担を抑える仕組みだが、契約書に潜む「初期償却」と「償却期間」の定義を見落としてはならない。
入居初日に一時金の15〜30%が返還不能となる初期償却が設定されている場合、わずか数か月で退去や逝去に至ってもその大半は戻ってこない。さらに、想定償却期間を超えて長生きした場合は追加の家賃が発生しない利点がある一方、途中で施設が倒産した場合の保全措置が万全かどうかも死活問題となる。
近年は一時金ゼロで月額利用料のみを支払うプランも主流になりつつある。しかし、長寿化が進む中で85歳、90歳を迎えた際の家計シミュレーションを怠れば、資金ショートという最悪の結末を招きかねない。