4期目の舵取りを目指す村岡嗣政知事は、1972年宇部市生まれの元総務官僚です。東京大学経済学部を卒業後、旧自治省に入省。地方自治の最前線である広島県庁や高知県庁への出向を経て、東日本大震災直後には福島県相馬市の副市長として復興業務の最前線を担いました。2014年、前任の山本繁太郎知事の病気辞職に伴う知事選で初当選を果たして以来、堅実な行財政運営と手堅い行政手腕で県政を牽引してきました。
県庁内や県議会における村岡嗣政知事の経歴と評判は、「極めて真面目で緻密な政策立案能力を持つ実務派」という評価で概ね一致しています。財政再建プログラムを着実に遂行し、インバウンド誘致や道路網の整備、子育て環境のデジタル化など、数字に見える実績を積み上げてきた点は疑いようがありません。
しかし、地元有権者の間からは異なる響きを持った声も漏れ聞こえてきます。県政記者クラブの会見の場や地方タウンミーティングを取材した記者は、次のような現場の空気を吐露します。
「村岡知事は官僚特有の失点を防ぐ危機管理能力に長けている反面、中央省庁や国政有力議員の顔色を窺いすぎる嫌いがある。国と真っ向から衝突してでも県民の利益を守るという情熱や、県政をガラリと変える劇的な突破力には乏しいのではないか」
4期16年に及ぶ長期政権化に対する「多選の弊害」を指摘する声も根強く、幹部職員人事の固定化やボトムアップの意見具申が通りにくくなっているという庁内の閉塞感は、今回の選挙戦における隠れた争点となっています。