ガラス越しに見える威厳ある姿の裏には、飼育担当者たちの地道な知恵比べがある。野生下で1日に数十キロを移動し、獲物を追う捕食者にとって、退屈は最大の敵だ。そこで徹底されているのが、環境エンリッチメントの実践である。
飼育担当者は、あえて給餌の時間を毎日不規則に変え、大きな骨付き肉を岩の隙間に隠したり、倒木の中に匂いを仕込んだりする。オオカミたちは優れた嗅覚を頼りに歩き回り、前肢と強靭な顎を使って執拗に肉を引っ張り出す。ただ餌を与えるのではなく、「探させ、考えさせ、力を使わせる」。この試行錯誤が、彼らの毛並みの艶と鋭い眼光を維持させているのだ。