法律学習の初歩において、多くの人が「法律=国民が守るべきルール」と「憲法=国家権力が守るべきルール」の違いを見落としがちです。ここに近代国家の核心原則である立憲主義の本質があります。
どんなに民主的な選挙で圧倒的多数の支持を得た政権であっても、個人の基本的人権を侵す法律を作ったり、言論を封殺したりすることは許されません。多数決の暴力から個人の自由を守り抜くため、憲法は国家権力(立法・行政・司法)の暴走にブレーキをかける「枷(かせ)」として機能します。
この立憲主義を法体系の中で担保しているのが、憲法第98条が定める最高法規性です。
「この憲法は、国の最高法規であつて、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。」(憲法第98条第1項)
さらに第99条では、天皇、国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員に対して明確に「憲法尊重擁護の義務」を課しています。主権者である国民ではなく、統治権力を行使する側にのみ擁護義務が課されている点こそが、憲法が「権力を縛るための法」である動かぬ証拠です。この構造を理解して初めて、三大原則が単なるスローガンではなく、国家の全活動を拘束する強大な法的規範であることが浮き彫りになります。