では、なぜ日本では「カーキ=ミリタリーグリーン」という図式が当たり前のように定着してしまったのでしょうか。その原因は、第二次世界大戦期におけるアメリカ軍のミリタリーウェアの変遷に隠されています。
第二次世界大戦当時、熱帯雨林や森林地帯での戦闘が増加したアメリカ軍は、緑がかった迷彩色である「オリーブドラブ(Olive Drab)」を制服に正式採用しました。終戦後、ミリタリー放出品やアメカジ文化が日本に流入した際、輸入業者や古着店が「軍服・ミリタリー系の色合い」をひとまとめにして「カーキ」と総称して販売したことが、日本独自入混同の引き金となりました。
色彩学的な視点で整理すると、両者の違いは明確です。
・本来のカーキ:黄みや茶みが強い「砂色」「黄褐色」。サファリウェアやチノパンに見られる乾いた大地のトーン。
・オリーブ(オリーブドラブ):オリーブの実のような暗い黄緑色。モッズコートやMA-1ジャケットに代表される深みのある緑系。
現在のアパレル業界では、消費者の認知に合わせて「グリーン系もベージュ系もすべてカーキ」と包括的に表記するケースが多いため、購入時には実物のトーンを見極める視点が欠かせません。