このムーブメントの地ならしをしたのは、間違いなく出版業界のイノベーターたちだ。ラジオパーソナリティとしても絶大な人気を誇るジェーン・スーは、コラムや著書を通じて中高年女性の日常や心理を軽妙かつ鋭く言語化し、多くの読者の心を解き放ってきた。また、カナダ留学を経て独自の人生観を発信する光浦靖子の等身大の言葉も、世間の「女性らしさ」という呪縛を心地よく切り崩した。
KADOKAWAをはじめとする大手出版社から次々と刊行されるエッセイ本は、ベストセラー街道を邁進している。自らの加齢や嗜好の変化を隠さず、むしろ「おじさん化」を笑いに変えて愛でる視点は、読者に「そのままでいい」という強力な全肯定のメッセージを届けたのだ。