那田蜘蛛山を恐怖の坩堝へと叩き落とした「蜘蛛家族」。その実態は、血縁関係による温かな家庭などではなく、恐怖と暴力によって支配された偽りの集団だった。中心に立つのは十二鬼月の一角、下弦の伍である累だ。彼は自分を「弟」とし、他の鬼たちに「父」「母」「兄」「姉」という役柄を強制的に割り振っていた。
本来、鬼は群れを嫌い単独で行動する習性を持つ。しかし、累は自身の血鬼術を用いて配下の鬼たちに自らの血を分け与え、容姿すらも蜘蛛のような姿へと強制変化させていた。役割を果たせない者や言いつけに背く者には、顔を削ぎ落とすなどの残虐な罰が下される。弱者が強者に従属し、怯えながら家族を演じ続ける光景は、観客に強い不気味さと異彩を放っていた。