本来はパーソナルな痛みを歌った楽曲でありながら、『スラムダンク』ファンの間で本作は「三井寿のテーマ」として神格化されています。この現象の背景には、アニメ版制作陣による綿密な演出意図と、物語の劇的なカタルシスがありました。
中学MVPという栄光から膝の負傷による挫折、不良グループへの転落、そして安西先生の前で涙を流した「バスケがしたいです……」という伝説の告白。三井寿が歩んだ道程は、栄光と挫折、そして自責の念に満ちています。アニメ第44話「翔陽・三井嵐の反撃!」をはじめとする激闘の最中、極限の疲労の中で過去の後悔を抱き締めながらスリーポイントシュートを放つ場面で流れた『世界が終るまでは…』は、まさに三井の魂の叫びそのものでした。
歌詞にある「儚き日々と このTragedy Night」という独白は、バスケットから逃避し無為に過ごした三井の2年間と完璧に重なり合います。作り手が意図して寄せたわけではない私小説的なリリックが、キャラクターの抱える重いドラマと偶発的かつ必然的に交差したことこそ、本作が30年以上の時を経ても語り継がれる最大の要因です。