新大久保を訪れる多くの人々が衝撃を受けるのが、肉類とスパイスの圧倒的な価格破壊だ。国産スーパーで手の届きにくいラム肉やマトン、ハラルチキンが、信じられないほどの低価格で冷凍ストッカーに並ぶ。なぜこれほどの価格差が生まれるのか。その裏には、独自の流通ネットワークが存在する。
業界関係者の証言によると、新大久保に拠点を構えるハラル食材店は、オーストラリアやニュージーランド、ブラジルなどの大規模精肉加工施設と直接提携を結んでいる。中抜きを排除したコンテナ単位での一括大量輸入を行い、都内近郊の自社専用プレハブ倉庫でストック・加工を行うことで、中間マージンを極限までカットしている。
さらに、都内近郊に住む数万人のムスリムおよび南アジア系住人が日常的にキロ単位でまとめ買いするため、在庫の回転率が極めて高い。廃棄ロスが限りなくゼロに近いことが、薄利多売の低価格販売を成立させている構造的要因だ。
数ある店舗の中でも、新大久保ハラルスーパー評判の筆頭格が「グリーンナスコ(Green Nasco)」だ。店頭には香ばしいスパイスの香りが漂い、チリパウダーやターメリックがキロ単位の巨大な袋で積み上げられている。同店を筆頭に「ナスコフードフーズ」「ザ・ジャンナ・ハラルフード」など複数の実力店が徒歩数分圏内に密集しており、価格競争と鮮度維持が自然と担保されている。