市立福山には、学業との両立を定めた厳格な下校時刻が存在する。平日のグラウンド使用時間はわずか2時間足らず。他部活との兼ね合いもあり、全面を使ったフリーバッティングすら毎日できるわけではない。だが、指導陣はこの制約を「思考を研ぎ澄ますための恩恵」と捉えた。
無駄な待ち時間を削ぎ落とし、15秒単位で区切られた高強度のノックや、実戦の緊張感を再現したシチュエーション打撃を導入。短時間で脳と身体に極限の負荷をかけるトレーニングは、試合終盤の土壇場で見せた驚異的な粘り強さへと昇華した。だらだらと長時間練習を行うのではなく、研ぎ澄まされた集中力で勝利を引き寄せる姿は、部活動改革が進む令和の教育現場にとっても象徴的な出来事といえる。