激動の1990年代後半、活動休止を経て渡米し、ロサンゼルスで心身の治療に専念した宮沢りえは、見事な復活を遂げました。帰国後の彼女を支えたのは、演出家・蜷川幸雄氏や劇作家・野田秀樹氏ら演劇界の巨匠たちとの出会いでした。
舞台演劇の世界で徹底的に鍛え上げられた彼女は、読売演劇大賞最優秀女優賞を筆頭に数々の演劇賞を総なめにし、映画『たそがれ清兵衛』『紙の月』『湯を沸かすほどの熱い愛』では日本アカデミー賞最優秀主演女優賞に輝くなど、日本屈指の演技派女優としての地位を不動のものとしました。
後年のインタビュー番組で、彼女はかつての騒動や写真集について極めて率直なコメントを残しています。
「あの頃は本当にいろいろなことがありましたけれど、何ひとつ後悔はしていません。あの経験のすべてが、今の私の表現の引き出しになっています」
2014年に母・光子氏が逝去した際も、彼女は最期を看取り、「最期まで生きることに全力を尽くした母でした。私にとって唯一無二の母でした」と、複雑な愛憎を乗り越えた深い感謝の言葉を捧げています。さらに私生活では2018年に森田剛氏と再婚。公私ともに成熟したパートナーシップを築き、独立して新事務所を構えるなど、自らの足で人生を切り拓く強さを手に入れました。
「可哀想な少女」という世間の憐憫を自らの実力と覚悟で払拭し、唯一無二の大女優へと脱皮した姿こそが、宮沢りえという表現者の真骨頂です。