当時の国内外のファンコミュニティを振り返ると、BNDへの評価は「設定は最悪、ストーリーは最高」という二極化した構造を持っていました。
当時の掲示板やSNSでは、「20年読んできた歴史をゴミ箱に捨てられた」「メフィストに頼るピーターなんて見たくなかった」という痛烈な批判が溢れ返る一方、刊行が進むにつれて「月3回刊行なのに信じられないほどテンポが良い」「クラシックなスパイダーマンの面白さが戻ってきた」という肯定的な意見が急増しました。連載後半には名作と名高い『ガントレット』編や『グリム・ハント』編へと繋がり、BNDは長期連載の黄金期のひとつとして再評価されています。
そしてこのBNDの構造は、映画界へも決定的な影響を与えました。2021年の大ヒット映画『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』において、ドクター・ストレンジの魔術で全世界からピーターの記憶を消すラストシーンは、まさに『ワン・モア・デイ』と『ブランド・ニュー・デイ』の映画的再解釈でした。
2026年現在、撮影やプロットの全貌が熱狂的に報じられているMCU『スパイダーマン4』において、ピーター・パーカーは「アベンジャーズの後ろ盾を失い、MJやネッドにも忘れられ、安アパートで手作りスーツを着て戦う孤独なヒーロー」として再出発しています。MCUはまさに、映画版における『ブランド・ニュー・デイ』の物語を描こうとしているのです。