「すぐに意識が戻るなら安全な技なのではないか」という認識は、取り返しのつかない大事故を招く極めて危険な誤解です。過去には学校の部活動や友人同士の悪ふざけでチョークスリーパーを掛け合い、生徒が死亡したり、重い障害を負ったりする悲惨な事故が国内外で幾度となく発生しています。
チョークスリーパーの最大の危険性は、脳への酸素供給が完全に途絶える時間への耐性が極めて低いという点にあります。血流停止が十数秒以上に及ぶと、脳細胞が急速に壊死し始めます。その結果、低酸素脳症による深刻な記憶障害、運動麻痺、言語障害といった不可逆的な後遺症が残る恐れがあります。
さらに、喉の軟骨(甲状軟骨や輪状軟骨)の骨折、頸椎の損傷、あるいは頸動脈洞への過度な刺激による心停止など、命を脅かすリスクは枚挙にいとまがありません。管理された格闘技のリングでは、熟練の審判が即座に試合を止め、専門のドクターが控えているからこそ競技として成り立っているという事実を強く認識する必要があります。