「カジュアルに崩そうとして、ただの“だらしない人”になってしまう。その最大の原因は、アイテムごとのテイスト配合比率を誤っていることにあります」
数多くの雑誌や広告で活躍するトップスタイリストは、そう切り出した。彼が提唱する大人のための鉄則、それは「きれいめ7:カジュアル3」の黄金比だ。
「例えば、上質なテーラードジャケットにセンタープレスのスラックスを合わせたら、足元はあえてクリーンな白スニーカーで外す。逆に、ボトムスにラフなワイドデニムを選ぶなら、トップスには極上シルク混のニットと端正なレザーローファーを合わせる。全身の面積の7割を上品な素材やシルエットで固め、残りの3割だけで肩の力を抜く。この配分さえ守れば、誰でも一瞬で今っぽい垢抜け感を演出できます」
スタイリングの現場では、手首や足首の絶妙な肌見せ、あるいはインナーの襟元の立ち上がり方といったミリ単位のディテールが全体の洗練度を左右するという。計算された「隙」を作ることこそが、現代のきれいめカジュアルにおける最大の秘訣なのだ。