平山の思索の根幹には、彼が教鞭を執り、思索を深めた日本大学理工学部での熱狂的な現場があった。教壇で語られたのは、無難な収まりや構造力学の教科書的回答ではない。人間が空間に呪縛され、あるいは空間を呪い返すという、精神の深淵を巡る対話だった。
やがてその波紋は日本建築学会のアカデミズムをも揺るがすことになる。定型化された機能主義住宅論に慣れきっていた審査員や理論家たちは、平山が提出する寮の図面を前に立ち尽くした。「居住者を不安に陥れる空間が、果たして建築の名に値するのか」。痛烈な批判と熱狂的な賛美。学会誌の誌面を戦場に変えた激論は、建築が「生活の器」を超えて思想の武器になり得ることを証明していた。