青灰色のネコと茶色の小ネズミ。誰もが知るこのコンビには、アニメ史に残る詳細な設定が存在する。主人公のネコであるトム(トーマス・キャット)は、一見するとおっちょこちょいでドジなハンターだが、実はピアノ演奏から金管楽器、さらには化学の実験までこなすマルチな才能の持ち主だ。感情表現が実に豊かで、どこか憎めない愛嬌が世界中のファンを惹きつけて離さない。
一方、いつも知恵を絞ってトムの裏をかく小ネズミのジェリー(ジェロニモ・マウス)も、単なる被害者ではない。逃げ回るだけでなく、時にトムを容赦なく返り討ちにする攻撃性とたくましさを備えている。この二人の強烈な個性を生み出したのが、伝説的アニメーターであるウィリアム・ハンナとジョセフ・バーベラの最強タッグだった。
1940年、映画制作大手メトロ・ゴールドウィン・メイヤー(MGM)のスタジオで産声を上げた彼らは、第1作『上には上がある』でスクリーンデビューを果たした。当時は「ジャスパー」と「ジニアス」という仮名だったが、公開後の公募によって現在の名前へと改名された経緯がある。