ドクの知性と狂気を象徴する最高の相棒といえば、ガルウィングドアが印象的なデロリアン(DMC-12)だ。脚本の初期段階ではタイムマシンが冷蔵庫型として構想されていたことは有名だが、「タイムマシンを作るなら、格好いい車でなくてはならない」というドクの信念は、そのまま制作陣の美学でもあった。
無塗装のステンレスボディが放つ鈍い金属光沢、複雑に絡み合う配線やパイプ、そして原子炉を搭載したリアデッキ。美術チームは実用性とドクの手作り感を共存させるため、航空機の廃材やジャンクパーツをかき集め、膨大な時間を費やして改造を施した。自動車業界で不遇の歴史を辿った実車が、映画の中でドクの情熱によって不朽のアイコンへと鮮やかな転生を遂げたのだ。