彼の実践的アプローチが最も色濃く反映されたのが、ジュニア選手の育成プロジェクト「修造チャレンジ」だ。ここで若き日の錦織圭を見出し、世界のトップランカーへと押し上げる基礎を築いたエピソードは、今や日本スポーツ界の伝説として語り継がれている。しかし、コートの現場で繰り広げられていた指導は、メディアで想像されるようなスパルタ式のノックだけではない。
当時の関係者が明かす未公開の裏話によれば、指導現場で最も時間を割いて叩き込まれたのは「ミスをした直後、いかにコンマ数秒で気持ちをリセットするか」という極限のメンタルトレーニングだったという。ミスをした選手に対して感情的に怒るのではなく、「今、自分の心の中で何が起きた?」「次はどういう意志を持って打つ?」と徹底的に問い詰め、自己の感情を言語化させた。感覚に頼りがちな天才肌の選手に対し、自らの感情と技術を客観的に観察させる訓練を徹底したことこそが、世界最高峰の舞台でブレない強靭な精神力を育んだ隠されたロジックだったのだ。