少林寺拳法について調べていくと、必ず直面するのが「宗教法人」というキーワードです。「武道なのに新興宗教なのか?」「入会すると宗教活動を強制されるのか?」と不安を抱く方も少なくありません。この疑問を解消するには、少林寺拳法の創始思想と組織構造の歴史を正しく理解する必要があります。
少林寺拳法の総本山は、香川県多度津町にある宗教法人「金剛禅総本山少林寺」です。宗道臣は、少林寺拳法を単なる腕っぷしを鍛える格闘技術ではなく、達磨大師が開祖とされる禅の教えに基づき「身心一如(身体と精神を共に修養する)」を目指す主動修行法として位置づけました。神仏にすがる他力本願の宗教ではなく、「自己の可能性を信じ、自立した人間となって社会に貢献する」という実践哲学(金剛禅)を説くための場として宗教法人の形態を採ったのです。
現在、少林寺拳法グループは目的と対象に応じて複数の組織に分かれて運営されています。
- 金剛禅総本山少林寺(道院):宗教法人として運営される道場で、技の修練とともに教え(学科)を学び、僧階(僧侶としての資格)を取得していく修養の場。
- 一般財団法人 少林寺拳法連盟(支部・少年団・大学・実業団):学校の部活動や地域のスポーツ少年団、社会人クラブなど、宗教色を排除した社会教育・体育活動として活動する組織。
- 少林寺拳法世界連合(WSKO):世界数十カ国に広がる国際ネットワークを統括する機関。
このように、道院に通う道士(門信徒)は金剛禅の修行者として修練を行いますが、学校のクラブ活動や地域のスポーツ少年団で学ぶ場合は純粋な武道・スポーツ教育として参加できます。怪しげな勧誘や寄付の強要などは一切なく、公益性の高い社会教育として日本武道協議会にも加盟しています。