肋木(英語名:Stall Bars / Wall Bars)のルーツを辿ると、19世紀初頭の北欧スウェーデンに行き着く。詩人であり解剖学や生理学にも深い造詣を持っていたペール・ヘンリック・リングが考案した医療・解剖学的体操システム、すなわちスウェーデン体操の根幹をなす器具として開発されたのが始まりである。
当時、ナポレオン戦争後の混乱期にあったスウェーデンで、リングは国民の体力向上と傷病兵のリハビリを目的とした体操創設に奔走した。彼は人間の骨格系と筋肉の構造に基づき、身体を正確かつ合理的に動かすための固定具として肋木を設計。この合理主義的な運動思想はヨーロッパ全土へ波及した。
明治時代に入ると、この体系は日本にも輸入され、学校体育の現場へ急速に普及していく。身体の左右バランスを整え、集団で効率的に姿勢を矯正できる点が重宝され、日本中の体育館の壁面を飾る定番設備としての地位を確立したのである。