日本伝統工芸の精緻な技法を受け継ぐ色鮮やかな千代紙で手裏剣を折ると、武骨な武器のモチーフが一転して、洗練された工芸アートのような佇まいを見せます。手触りや紙のコシ、重なり合う和柄のコントラスト。紙という素朴な素材のなかに、何百年も磨かれてきた美意識が宿っています。
この「折って畳み、広げる」という幾何学的な構造美は、最先端の折り紙工学としても脚光を浴びています。かつて世界的折り紙作家の吉澤章が確立した国際的な折り図記号体系は、いまや宇宙探査機のソーラーパネル展開構造や医療用ステントの開発にまで応用されています。子どもが何気なく折る手裏剣のパーツの噛み合わせにも、科学と工芸を結ぶ驚くべき知恵が潜んでいるのです。