ガストン・ルルーの原作小説をもとに、巨匠ハロルド・プリンスが演出し、劇団四季創始者の浅利慶太が日本語版の演出を手掛けた本作。浅利が徹底したのは「母国語の明晰な響き」であり、プリンスが追求したのは「視覚的な魔術」だった。二人の巨人の融合が、日本におけるブロードウェイ・ミュージカルの金字塔を打ち立てた。
シャンデリアの急降下、地下湖を滑るボート、仮面舞踏会の豪華絢爛な階段。計算し尽くされた舞台機構と、俳優の一音一音に込められた言葉の明瞭さが共鳴し、観客を19世紀パリ・オペラ座の闇へと瞬時に引きずり込む。この演出美が保たれているからこそ、キャストの交代が作品に新たな命を吹き込む触媒となる。