東西約4.5キロメートル、南北約1.7キロメートルのサンゴ礁が広がる沖ノ鳥島ですが、満潮時に海面上に露出するのは「北小島」と「東小島」と呼ばれる2つの小奇岩のみです。激しい波浪による浸食が進めば、満潮時に完全に海没し、国際法上の「島」としての資格を喪失する危機に直面していました。
日本政府は1987年(昭和62年)から大規模な護岸工事に着手。周囲を巨大な特殊消波ブロックで囲み、露出部には波の衝突や腐食を防ぐチタン製ネットを被せる工法を採用しました。これまでに投じられた国家予算は数百億円規模に達します。
さらに根本的なアプローチとして推進されているのが、水産庁や東京都が連携して行うサンゴ礁再生事業です。研究施設で育成したミドリイシ属サンゴの幼体を沖ノ鳥島の環礁内に移植・定着させ、サンゴ自身の成長によって島全体の地盤を自然に隆起・維持させる試みが続けられています。
島内に整備された鉄骨ジャケット構造の観測拠点プラットフォームでは、気象・海洋データの常時収集が行われており、2026年現在も海洋調査や通信の中継基地として機能し続けています。