本作において最大の関心を集めたのが、ヒロイン今日子役に抜擢された由美かおる 若い頃のキャスティングと、その大胆な演技でした。当時、彼女は「西野バレエ団」の看板グループ「レ・ガールズ」の一員として人気を博し、抜群のプロポーションと明るい健康美でテレビ界を席巻していたトップアイドルでした。
その彼女が、作中で惜しげもなく披露した同棲時代 濡れ場シーンは、芸能界やファンに大きな激震を走らせました。しかし、公開後に批評家たちを唸らせたのは、露出の多さではなくその圧倒的な気品です。バレエで培われたしなやかな肢体と、哀愁を帯びた眼差しは、性愛を生々しい卑俗さから救い出し、透明感あふれる芸術へと昇華させました。
残された同棲時代 撮影秘話や当時の関係者インタビューによると、由美かおる自身は現場において極めてプロフェッショナルに役柄へ没入していたと伝えられています。相手役を務めた由美かおる 仲雅美のコンビネーションも見事で、仲雅美が漂わせる頼りなくも繊細な青年の佇まいが、今日子の母性的な献身と痛々しいまでの孤独を完璧に引き出しました。
スタジオ内での撮影中、スタッフの視線を遮るクローズドセットの手法が取られ、監督の指示に対して由美は一切の妥協を許さずテイクを重ねたといいます。アイドルから本格派シネマ女優への脱皮というリスクを背負いながら、彼女が見せた覚悟こそが、半世紀以上を経ても色あせない名場面を生み出す原動力となりました。