賞味期限が切れた納豆を前にして最も多くの人が直面する悩みが、「この白い斑点はカビなのか?」という疑問です。ここで安全な生理現象と、危険な腐敗の兆候を明確に見極める視力と知識が求められます。
納豆の表面や内部に現れる白い砂のような粒の正体は、大半が「チロシン」と呼ばれるアミノ酸の結晶です。大豆のタンパク質が納豆菌の酵素によって分解される過程で生成されるもので、長期間の保存や10℃以上の環境に置かれたことで過発酵が進むと析出します。口に含むと「ジャリジャリ」「シャリシャリ」とした砂を噛むような食感があり、舌にチクチクとした刺激を感じることがありますが、チロシン自体は体に害を及ぼす毒素ではありません。
しかし、本物のカビとの見分けには注意が必要です。納豆カビの見分け方において最も重要なポイントは「立体感と質感」です。
チロシンが平面的で固い結晶であるのに対し、外部から混入した雑菌によるカビは「ふわふわとした綿毛状(菌糸)」を形成します。色は白だけでなく、青緑色、灰色、黒色などに変色しているケースが目立ちます。パックを開けた瞬間にふわっとした羽毛のようなものが豆の表面を覆っている場合は、チロシンではなくカビですので絶対に口にしてはいけません。
さらに見逃せないのが臭いと粘りの変化です。正常な納豆も独特の発酵臭を持ちますが、発酵が過度に進むとツンと鼻を刺す強烈な「納豆アンモニア臭」を放ちます。これはタンパク質が極限まで分解されたサインです。同時に、納豆腐った見分け方として「かき混ぜても糸を引かず、水っぽくシャバシャバしている」「豆がドロリと崩れて異様な酸味や焦げたような苦味がある」といった異変が確認された場合は、腐敗菌が納豆菌を圧倒して増殖している証拠です。