発売告知が出回るやいなや、セブン新商品パン売り切れの理由を巡ってネット上では連日さまざまな憶測が飛び交っています。一部では「発注を絞って意図的に品薄を作っているのではないか」というステルスマーケティング疑惑さえ囁かれますが、物流現場のオペレーションと店舗オーナーへの取材から見えてくるのは、まったく異なる構造的要因です。
コンビニ業界における新作の配荷は、基本的に毎週火曜日を起点としています。セブン-イレブン・ジャパンの配送網では、月曜深夜から火曜未明にかけて各配送センターから店舗へ一次便が到着し、早朝の開店前後に売り場へ並べられます。しかし、フランチャイズ各店舗の発注権限は店長やオーナーに委ねられており、賞味期限が短いチルドパンやベーカリー商品は「売れ残りによる廃棄ロス」を極限まで警戒して、発売初週の発注数を1アイテムにつき数個〜十数個程度に抑える傾向があります。
そこに近年のSNSアルゴリズムが直撃します。インフルエンサーによる朝7時の購入報告やショート動画が拡散されると、通勤・通学時間帯である午前7時半から9時のわずか1時間半で初回入荷分が一掃されてしまうのです。現場の棚前で起きていたのは、人為的な品薄ではなく、「ロスマネジメントによる慎重な初期発注」と「SNS即時拡散による需要の瞬間最大風速」のギャップでした。