「鯵(あじ)」を理解したところで、寿司屋の湯呑みや居酒屋のメニューで頻出する「魚偏(うおへん)」の代表的な仲間たちを一覧で整理しておきましょう。漢字のつくりの意味を知ることで、魚の生態や日本人の感性が立体的に見えてきます。
- 鰯(いわし):魚偏に「弱」。陸に揚げるとすぐに弱って死んでしまうことや、食物連鎖の下位で他の魚の餌になりやすいことから。
- 鯖(さば):魚偏に「青」。背中が青く澄んでいることや、青魚の代表格であることから。
- 鰹(かつお):魚偏に「堅」。天日干しや焙乾によって「鰹節(かつおぶし)」のように石のように堅くなることから。
- 鯛(たい):魚偏に「周」。日本近海の「周囲」どこにでも広く分布し、年間を「周(めぐ)」って年中美味しく食べられることから。
- 鮭(さけ):魚偏に「圭」。「圭」には三角にとがった美しい形や土の折り重なりの意味があり、産卵期に鼻先が尖ることや身が綺麗に裂ける様子から。
- 鮪(まぐろ):魚偏に「有」。広大な海を有機的に広範囲に回遊し、囲い込んで獲る魚であることから。
- 鱈(たら):魚偏に「雪」。初雪が降る冬の時期に獲れ、身が雪のように真っ白であることから(国字)。
このように、魚偏の漢字には「形態」「生態」「色」「獲れる季節」が見事に凝縮されています。文字の一つひとつが、何百年もの時間をかけて海とともに生きてきた日本人の生活の知恵そのものなのです。