住まいづくりの現場において、ウォークインクローゼットの後悔理由として最も多く挙げられるのが、「スペース効率の罠」です。一般的な壁付けクローゼット(CL)の奥行きが50〜60cm程度であるのに対し、内部に人が立ち入るWICは、中央に通路として幅60〜70cmほどのスペースを確保しなければなりません。この歩くためだけの面積が、実質的なデッドスペースを生み出します。
特に2畳未満の狭小スペースに無理やりWICを設けた場合、「壁面クローゼットを2つ並べたほうが圧倒的に多くの衣類をしまえた」という逆転現象が起こります。これが、住み始めてから気づく最大のウォークインクローゼットのデメリットです。
2つ目の要因は、密閉空間ゆえのウォークインクローゼットの湿気・カビ対策の不備です。衣類は湿気を吸着しやすいうえ、建物の北側や窓のない一角に配置されることが多いため、空気が滞留します。除湿機用のコンセントや24時間換気パイプファンを設けていなかった結果、大切なコートや革製品に白カビが発生し、数年で換気扇増設のリフォームを余儀なくされる事例が後を絶ちません。
3つ目は「着替え場所と生活動線の不一致」です。寝室の奥に配置した場合、夫婦間で起床時間が異なると、早朝や深夜の物音・照明が睡眠を妨害します。プライバシーを守るはずの空間が、かえって家庭内の生活リズムの摩擦を生む原因になっています。