まず押さえておきたいのが、無財の七施の意味と読み方です。読みは「むざいのしちせ(または、むざいのななせ)」。古代インドの仏教説話を集めた経典『雑宝蔵経(ぞうほうぞうきょう)』に記された、釈迦の教えに由来します。
仏教における布施とは、本来「貪(むさぼ)りの心を捨て、他者に施しを与える利他行」を指します。一般的に布施といえば、金品や衣服を差し出す「財施(ざいせ)」、仏の教えを説く「法施(ほうせ)」、恐怖や不安を取り除く「無畏施(むいせ)」の3つが知られています。しかし、困窮する庶民が「自分には差し出す富も、高尚な教義を説く知識もない」と嘆いた際、釈迦が「財産が何一つなくても、誰にでもできる崇高な7つの施しがある」と授けたのが、この無財の七施の起源とされています。
財力の多寡に関係なく、自らの表情、言葉、身体の所作、心の持ちようだけで周囲を幸せにできるという思想は、2600年の時を超えて今なお色褪せない本質的な価値を宿しています。