しりとりにおいて「る」が圧倒的なキラーワードとして君臨する理由は、プレイヤーの知識不足ではなく、日本語という言語が持つ音韻構造の偏りにあります。国立国語研究所などの語彙調査データを紐解くと、私たちが日常的に使用する語彙の中で、語頭にラ行音(特に「る」)が来る言葉の割合は極めて特殊な位置づけにあることがわかります。
歴史的に見ても、日本古来の大和言葉(和語)には「語頭にラ行音が立たない」という厳格な音韻規則が存在していました。「りんご」や「ろうそく」といった言葉も元は漢語であり、平安時代以前の純粋な和語には「る」から始まる単語は原則として存在しなかったのです。そのため、現代日本語で「る」から始まる言葉の大半は、近代以降に流入した外来語か、専門的な学術用語に限られます。
一方で、動詞の終止形(連体形)の多くが「〜る」で終わる性質を持つ日本語では、名詞化された言葉や外来語を含め、「るで終わる言葉」の絶対数が極めて膨大です。「ホテル」「ビール」「タオル」「サークル」など、無意識に口をついて出る単語の末尾には「る」が溢れています。この「受け入れ口の広さ」と「出口の狭さ」という圧倒的な非対称性こそが、しりとり必勝法として「る攻め」が頻繁に悪用される根本的な構造的要因です。