犬が舌を出して「ハァハァ」と呼吸をするパンティングは、体温調節のための生理現象として日常的によく見られます。しかし、猫において開口呼吸は絶対に生理現象としては片付けられません。激しい運動直後や極度のパニック時を除き、猫が口を開けて息をしている姿は、自力での換気能力が限界に達していることを意味する最悪のサインです。
WEB上のコミュニティやSNS、知恵袋などに投稿される飼い主の手記を分析すると、初動対応の遅延が悔恨の言葉とともに数多く綴られています。
「夜中に愛猫がお腹をペコペコさせて息をしていて、少し口を開けていたけれど、『朝一番で病院に行けば間に合うだろう』と様子を見てしまった。しかし明け方に突然バタッと倒れ、病院に駆け込んだときには心停止していた。獣医師から『なぜ昨夜のうちに救急へ連れてこなかったのか』と問われ、取り返しのつかない後悔に苛まれている」(40代・飼い主の手記より要約)
このような悲劇が繰り返される最大の要因は、「猫はぎりぎりまで普段通りを装う」という生態にあります。食欲が少し落ちた、動きが緩慢になったという程度の変化しか見せないまま病状がステルス進行し、飼い主が開口呼吸やお腹の激しい揺れに気づいたときには、すでに心不全や呼吸停止の数歩手前まで追い詰められているのです。口呼吸を始めた段階で、動物病院への即時連絡以外の選択肢は存在しません。