ネット上の掲示板や知恵袋などで時折見かける「通信インフラがクラウドや仮想化に移行した今、電気通信主任技術者はオワコンである」という言説。これは、通信インフラの実態を根本から誤解した暴論と言わざるを得ません。
確かに、上位レイヤーのアプリケーションやOS環境はクラウド(AWSやAzureなど)上に移行しました。しかし、それらの巨大クラウドを物理的に接続しているのは、海底ケーブルであり、地下に張り巡らされた光ファイバ網であり、各所に分散配置されたデータセンターの無停電電源装置や冷却設備です。これらの物理設備が存在する限り、電気通信事業法に基づく主任技術者の選任義務が消滅することはありません。
もうひとつの盲点は「実務経験がなければ資格が無価値になる」という誤解です。本資格は、試験に合格さえすれば実務経験ゼロでも資格者証の交付を受けることができます。電気通信設備の現場実務経験がない状態であっても、国家資格として履歴書に明記できるため、第二新卒や未経験からのインフラエンジニア転職において、ポテンシャルと学習能力を証明する最強の武器として機能します。
【プロの結論】おすすめできる人・慎重になるべき人の判断基準
自己投資として本試験に挑むべきか否か。投じる時間と得られるリターンを冷徹に天秤にかけ、次の判断基準を持って決断することをお勧めします。
- 受けるべき人:
- 通信キャリア、プロバイダ、データセンター、通信工事会社に身を置いている(または志望している)人
- 社内での昇進・昇格要件に本資格が指定されている人
- 工事担任者や一陸技をすでに保有しており、基礎免除の恩恵をフルに活かせる人
- インフラエンジニアとして、クラウドだけでなく「物理レイヤー・伝送路」に強い差別化された専門性を確立したい人
- 慎重になるべき(優先順位を下げるべき)人:
- Webアプリケーション開発やUI/UXデザインなど、上位ソフトウェア層のみに特化したい人
- 数学や物理の計算に強いアレルギーがあり、工事担任者などの免除ルートを踏む時間的余裕がない人
- 単に「汎用的なIT資格」が欲しく、基本情報技術者やAWS認定などをまだ取得していない人