口輪筋が過剰に発達する背景には、意識的な筋トレだけでなく「無意識の生活習慣」が複雑に絡み合っています。その筆頭が、食いしばりによる口元肥大の真相です。ストレスや長時間のスマートフォン操作に伴い、多くの現代人が奥歯を噛みしめる癖を持っています。このとき主働筋となる咬筋だけでなく、口を閉じるために口輪筋やオトガイ筋も同時に強い等尺性収縮(アイソメトリック運動)を強いられています。
就寝中も含めて1日数時間も無意識に強い負荷がかかり続ける状態は、いわば「24時間休みなく口元にダンベル負荷をかけている」のと同義です。この持続的な筋緊張が、本人の自覚がないまま口周りの筋肥大と拘縮を進行させています。
また、近年の美容トレンドにおける「人中短縮と口輪筋の関係」も見落とせません。鼻下を短く見せようとして上唇を常に上へ引き上げたり、唇を尖らせてアヒル口を維持しようとする動作は、口輪筋上部の筋繊維を局所的に肥厚させます。その結果、鼻の下の皮膚が分厚く盛り上がり、横から見たときに「カラスの嘴」のような前突感を強調してしまう悲劇が多発しています。ネット上で推奨される「唇をすぼめてキープする運動」は、口元の平坦化を妨げる最大の落とし穴といえます。