生食ロックとは、末梢静脈カテーテル(静脈留置針)を留置したまま点滴投与を一時的に休止する際、カテーテル内腔を無菌の生理食塩液で満たして閉塞を防ぐ看護技術を指す。点滴ラインを接続し続けずに血管確保のみを維持する「ルートキープとフラッシュ」の場面で日常的に用いられている。
かつての臨床現場では「管腔内に血液が滞留すれば血栓が形成される」という前提から、抗凝固作用を持つヘパリン加生理食塩液を充填するヘパリンロックが標準とされていた。しかし、近年の国内外における看護技術エビデンスの蓄積により、末梢静脈カテーテルにおいてはヘパリンを用いずとも、適切な生理食塩液のみのフラッシュで十分な開通性が維持できることが証明された。
現場で生食ロックの理由が強く支持される背景には、患者の安全性向上と業務プロセスの簡素化がある。ヘパリン調製にかかる看護師の手間を削減し、薬剤取り違えリスクを排除できる点も、過密な病棟運営において大きなメリットとして評価されている。