「賃貸マンションだから壁に穴を開けられない」と導入を諦めている層は多いものの、技術的には壁やキッチン天板を傷つけずに設置可能です。水道直結型の標準的な施工は、水栓の根元やシンク下の止水栓に「分岐水栓金具」を挟み込むだけで完了します。退去時は金具を外し、元の部品に戻すだけで原状回復が成立します。
ただし、工事が「可能」であることと「すべての物件で無条件に付けられる」ことは同義ではありません。現場調査で設置不可と診断される典型的なパターンは以下の通りです。
- ハンドシャワー引き出し式・一体型混合水栓:水栓内部の構造が複雑で、対応する市販の分岐金具が存在しない、あるいは部品代だけで1万5,000円以上の追加費用が発生する。
- タッチレス(センサー式)水栓:電子制御ユニットが組み込まれており、水圧変動による誤作動や故障リスクを避けるため施工業者側が工事を断るケースが多い。
- 経年劣化が激しい配管:築25年以上の物件などで配管の腐食が進んでいる場合、止水栓を回した瞬間にパッキン破損や漏水事故が起きる懸念があり、作業が見送られる。
賃貸住宅での導入にあたっては、管理会社やオーナーへの事前相談が欠かせません。「原状復帰できる無加工の分岐水栓工事である」旨を論理的に説明し、万が一の漏水トラブル時に適用される損害賠償保険の付帯状況を事前に確認しておくことが、無用な退去時トラブルを防ぐ防壁となります。