スマートフォンでズームした際に写真が粗くなる決定的な理由は、画面上で指を広げる操作(ピンチアウト)によって「デジタルズーム」が無意識に作動しているためです。スマートフォンの画面で2倍、3倍と中途半端に拡大すると、カメラはレンズを動かしているのではなく、センサーが捉えた写真の中央部分をトリミングし、ソフトウェア上で引き伸ばして表示しています。元の解像度が物理的に不足しているため、拡大すればするほどドットが目立ち、輪郭がぼやけてしまうのです。
さらに見逃せないのが、光量不足とシャッタースピードの低下です。ズーム領域を拡大処理すると、センサーが受光できる有効面積あたりの光の情報が実質的に激減します。暗くなった画面を明るく補正するためにカメラ内部でISO感度が強制的に引き上げられ、結果として不快なカラーノイズやざらつきが発生します。
加えて、高倍率になるほど手の微細な震えが何倍にも増幅される点も画質を損なう大きな要因です。わずか1ミリの手のブレが、画面上では被写体を大きく揺らしてしまうため、被写体ブレと手ブレが複合して全体が眠たい描写になってしまいます。