戦後長きにわたり、研究者や歴史ファンの間で議論され続けているのが「リメンバー・パールハーバー陰謀論の真相」です。いわゆる「ルーズベルト事前察知説(ルーズベルトの罠説)」は、欧州戦線へ介入したかったルーズベルト政権が、日本の攻撃計画を暗号解読などであらかじめ把握していながら、国民を団結させるために真珠湾の基地へ警告を出さず犠牲にしたとする説です。
この説の論拠として、攻撃当日に米海軍の最新鋭主力艦である空母が真珠湾を離れていた点や、暗号解読情報「マジック」の伝達経路の不自然さが挙げられます。しかし、近年の公開公文書や機密解除記録の精査によって、歴史学界では以下のような見解が主流となっています。
ワシントン政府は日本軍が近々軍事行動に出ること自体は予測していたものの、その標的はフィリピンやマレー半島などの東南アジア方面と想定していました。ハワイへの長距離越境攻撃は作戦遂行上極めて困難と過小評価されており、「知っていながら見殺しにした」というよりは、情報の錯綜と官僚機構の油断による重大な情報共有の失敗(インテリジェンス・フェイラー)であったというのが真相に最も近い評価です。