即位に関連する儀礼の中で、最も神秘的かつ重厚な意味を持つのが「大嘗祭(だいじょうさい)」です。
大嘗祭とは、天皇が即位した後に初めて行う一代に一度限りの特別な新嘗祭(にいなめさい)を指します。皇居・東御苑に特設される木造の神殿群「大嘗宮(だいじょうきゅう)」において、新天皇が自ら収穫された新穀を天照大神をはじめとする天神地祇(てんじんちぎ)に供え、自らもそれを食すことで、国家の安泰と国民の五穀豊穣を祈念する儀式です。
即位の礼との最大の違いは、その法的な位置づけにあります。即位の礼が日本国憲法第7条に基づく「国事行為」として国の予算(公費)で賄われるのに対し、大嘗祭は憲法の政教分離原則との兼ね合いから、皇室の伝統的な私的宗教行事である「宮中祭祀(皇室行事)」として位置づけられています。ただし、極めて公共性の高い伝統儀式であることから、公金である「宮廷費」から支出される形が取られています。