子どもの頃は単に「元気で面白い詩」として読んでいた作品ですが、酸いも甘いも噛み分けた大人が読むと、また違った深い感慨が胸に迫ります。
注目すべきは、第2連の「ふかれた かぜが/きまぐれに/おれの ひげを/なでていったぜ」という繊細な描写です。第1連で「みんなが尻込みしている」と突っ張っていたりゅうじですが、ふと吹いた風に触れられた瞬間、ふっと静寂が訪れます。強がりの中に宿るふとした孤独感や、自然と一体になる刹那の叙情がここに凝縮されています。
そして第3連の「かまを かざして/ひかりの なかを/あるいてやるぜ」。過酷な自然界の中で、小さな昆虫として生きる命の時間は決して長くありません。それでも、恐れることなく光あふれる世界へ自分の足で歩みを進める姿勢は、他者と比較しない圧倒的な自己肯定感と生の肯定を象徴しています。日々の生活で自信を失いかけた大人たちに「自分らしく胸を張って生きろ」と語りかけてくるような普遍的な力強さが、この詩には宿っています。