春先に出回るにしんの最大の醍醐味は、腹に抱えた「数の子(魚卵)」や「白子(精巣)」です。しかし、魚体の中で最も熱が通りにくい部位であり、「外側は焦げているのに中は冷たい生焼け」「加熱中に皮が弾けて破裂した」というトラブルが頻発します。
にしん 塩焼き 数の子 焼き方の秘訣は、皮の表面に入れる深さ2〜3ミリの飾り包丁(隠し包丁)です。腹部の最も厚みがある部分に、斜めに細かく切り込みを3〜4本入れておきます。これにより、熱が卵巣の中心部までスムーズに浸透すると同時に、内部の水蒸気を逃がすベント(空気穴)の役割を果たし、破裂事故を未然に防ぐことができます。
雄の個体に見られるにしん 塩焼き 白子 下ごしらえでは、白子の水分含有率が高いため、塩を振る際に腹腔内へひとつまみの酒と塩を直接なじませることが肝要です。加熱時は強火を避け、遠火の中火(またはフライパンでの弱火蓋蒸し)でじっくりと芯温を75℃以上まで引き上げることで、クリーミーでとろけるような濃厚な味わいが完成します。