本編で言っていないセリフが、なぜ本人の代名詞としてここまで定着したのか。その背景には、ものまねタレントによる卓越したデフォルメと、2010年代以降のネットコミュニティにおけるミーム化の連鎖があります。
火付け役となったのは、お笑い芸人のGたかしや堀をはじめとする「藤原竜也軍団」による誇張ものまねです。彼らは、藤原竜也が演じるキャラクターが理不尽な絶望に叩き落とされた際の「息を吸い込みながら胸をかきむしるような悲痛なトーン」を極限まで濃縮。観客にシチュエーションを一瞬で理解させる象徴的ワードとして「どうしてだよぉぉ!」「床がキンキンに冷えてやがるよぉぉ!」といったフレーズを開発・多用しました。
この強烈なパロディがバラエティ番組で爆発的な笑いを生み、ニコニコ動画や5ちゃんねる、X(旧Twitter)などのSNSを通じて「藤原竜也といえば絶望して『どうしてだよ』と叫ぶ男」というパブリックイメージが完成。心理学でいうマンデラ効果(集合的な記憶の誤認)が働き、多くの人々が「映画の中で実際にそう叫んでいた」と脳内変換していったのです。