事件当時から彼女の言動を深く観察してきた作家の北原みのりや、激しい取材合戦を繰り広げた『週刊文春』などのメディアは、彼女が放つ手紙の特殊な「魔力」をいち早く指摘していた。北原みのりが描き出した木嶋佳苗像の中には、女性蔑視や世間の歪んだ欲望を逆手に取り、自らを洗練された存在に見せる知略が溢れている。
週刊文春の紙面を飾った数々の直筆手紙の抄録は、読者に強い違和感と恐怖を与えた。醜聞記事や批判の渦中にあっても、彼女の手紙はどこまでも優雅であり、時にジャーナリストたちを弄ぶような余裕すら見せていたからだ。手紙という古典的な媒体が、現代の犯罪においてどれほど強力な凶器となり得るかを、彼女は身をもって証明した。