朝ドラのヒロインといえば、数千人規模の大規模オーディションを経て新人・若手女優が選ばれるのが通例です。しかし、2017年放送の『ひよっこ』において、有村架純はオーディションを経ず、制作陣からの直接オファー(キャスティング)によって主演に抜擢されました。
この決定的な理由は、脚本を手掛けた岡田惠和との深い信頼関係にありました。岡田は以前、ドラマ『チキンレース』(2013年)などで有村の演技に触れており、彼女の持つ「どこか素朴で温かく、観る者に嘘を感じさせない誠実な芝居」に惚れ込んでいました。
岡田惠和は制作発表の場で、「今回は有村架純さんをヒロインに想定して、ゼロから企画を立ち上げた完全な当て書きです」と明言しています。高度経済成長期の茨城県から集団就職で上京し、東京の町工場や洋食屋で懸命に生きる谷田部みね子というキャラクターは、有村架純の素直でひたむきな人間性そのものを投影して生み出されたものでした。
物語の中で描かれた恋模様も大きな話題を呼びました。御曹司・島谷純一郎(竹内涼真)との切ない別れを経て、洋食屋「すずふり亭」の見習いコック・前田秀俊(磯村勇斗)と心を通わせていく過程は、視聴者から絶大な支持を獲得。相手役を務めた若手俳優たちもこの共演を機に大きく飛躍し、作品全体のアンサンブルを高める原動力となりました。