福山城の天守閣が春のやわらかな日差しに映える。JR福山駅前の商店街には、球児たちを祝う垂れ幕が所狭しと掲げられていた。かつて水野勝成が築いた城下町は、今や高校野球の新たな聖地として熱気に包まれている。
地方予選の組み合わせが決まった当初、彼らを優勝候補に挙げるメディアは皆無に等しかった。強豪ひしめく広島県大会。ライバルたちの壁はあまりにも高く、厚い。しかし、チームは静かに牙を研いでいた。一球に対する執念。泥だらけになりながら白球を追う泥臭い姿勢。そこに最新のスポーツサイエンスを取り入れたトレーニングが噛み合い、怒涛の破竹の勢いが生まれたのだ。