店主の永松真依氏が鰹節の魅力に開眼したのは、かつて祖母が手削りで用意してくれた出汁の味覚体験がきっかけだった。以来、鹿児島県枕崎や高知県土佐清水、静岡県焼津といった全国の主要産地へ足繁く通い、職人たちの技術と情熱を肌で学んできた。
現代の大量生産の波に押され、伝統的な本枯節を作る生産者は年々減少の一途をたどっている。永松氏は単に料理を提供するだけでなく、一杯のご飯を通じて職人の手仕事を未来へとつなぐ「架け橋」としての役割を担っているのだ。カウンター越しに語られる生産者のストーリーは、訪れる客に一粒の米、一削りの鰹節に対する深い感謝を呼び起こさせる。