『クローズアップ現代』の歴史を語る上で避けて通れないのが、歴代キャスターの交代にまつわる激動のドラマです。特に1993年4月の番組開始から約23年間にわたり延べ2,800回以上の放送を支えた国谷裕子(くにや・ひろこ)氏の降板は、日本のテレビ報道史における大きな転換点となりました。
2016年3月末をもって国谷氏が番組を去った際、メディア各社やネット上では「政権への配慮」「官邸からの政治的圧力」といった臆測が飛び交いました。しかし、NHK側の公式見解は「番組枠の移動(夜10時枠への移行)に伴う大幅なリニューアルとターゲット層の若返り」という組織論でした。後に国谷氏自身も手記や特別インタビューにおいて、一つの番組に長く携わり続けた自負とともに、組織の変革方針と自身のジャーナリストとしての歩調について複雑な心境を明かしています。名物アンカーの降板は、視聴者に強烈な喪失感を与えたと同時に、番組が抱える「属人性と組織性」のジレンマを露わにしました。
その後、番組が『クローズアップ現代+』と改称され、複数キャスター制の試行錯誤を経て2017年4月に単独キャスターとして投入されたのが、長年『NHKニュース7』のメインを務め「NHKの顔」と称された武田真一アナウンサーでした。武田アナの起用により番組は再び重厚な報道色を取り戻しましたが、2026年春、突如として大阪放送局への異動が発表され、事実上の番組降板となりました。
この異動劇に関して、NHK局内では「地方拠点機能の強化と後進育成」が名分とされたものの、報道の最前線で鋭い発信を続けていた看板アナの突然の地方配置には疑問の声が続出しました。武田アナは大阪異動後も精力的にローカル発信を行いましたが、最終的に2026年2月末にNHKを早期退職。フリー転身後は日本テレビ系情報番組『DayDay.』のMCに就任するなど、NHK時代には見られなかった柔らかな表情と硬骨なジャーナリスト魂の両輪で、目覚ましい活躍を続けています。